更新 2015.11.6 11:49閲覧 21781

【XSane】Ubuntuで複合機Brother MFC-6490CNを使う方法

Ubuntu を使い始めて約1年。だいぶ慣れてきたものの、インストール直後に行わねばならない設定などを早くも忘れそうになっていることに危機感を覚えたので書き残すことにした。手始めに、Ubuntu から A3 対応複合機 brother MFC-6490CN を操作して、スキャンおよび印刷ができるようになるまでをまとめた。

追記
2015年11月5日に確認したところ、Brotherのサイトで簡易インストールのドライバが配布されていた。やったネ!
Brother ソフトウェアダウンロード Linux 簡易インストーラー

手順

  1. 事前準備
  2. ファイアーウォールの設定
  3. XSane のインストール
  4. Ubuntu の設定書類を編集
  5. スキャナードライバーのインストール
  6. プリンタードライバーのインストール
  7. MFC-6490CN を Ubuntu へ登録する
  8. XSane のテスト
  9. MFC-6490CN 側の設定
  10. MFC-6490CN 側の操作

事前準備

まず、Ubuntu ソフトウェアセンターから Geany をインストールする。Geany とはテキストエディタの名称。Mac OS X で使っていた CotEditor には及ばないが、Ubuntuソフトウェアセンターで提供されているテキストエディタの中では、機能的な割に軽快で使い易い。

ファイアーウォールの設定

brother のサイトにある「画面で見るマニュアル」によれば、複合機 MFC-6490CN でスキャンして取り込んだデータは、UDP プロトコルのポート 54925 を使って PC 側へ転送されるそうである。それ故、Ubuntu 側で受信するためには、ファイアーウォールを操作してポートを開く必要がある。

参考リンク

ファイアウォールの設定を確認する

Ubuntuソフトウェアセンターより「ファイアウォール設定」をインストールする。

Ubuntuのメニューより、「システム管理/ファイアーウォールの設定」を選択。
ファイアーウォールのウィンドウが開いたら、「追加」ボタンを押す。
すると、「ルールの追加」という名前のウィンドウが開くので、 タブメニューより「簡易」を選び、「許可 受信 UDP 54925」と設定して「追加」ボタンを押す。

これでファイアウォールの設定が完了。

XSane のインストール

続けて、Ubuntuソフトウェアサンターより、スキャナで画像を取り込むためのソフトウェア、XSane Image scanning program (以降:XSane)をインストールする。

Ubuntu の設定書類を編集

スキャナを認識させるため、Ubuntu の設定書類を編集する。
端末を開いて、下記の通り入力。


sudo geany /lib/udev/rules.d/40-libsane.rules

40-libsane.rules という書類には、エプソンやキヤノンのような各種プリンタ毎の設定が記されている。今回は brother の複合機を設定するため、設定項目の一番下へ移動して、下記の二行をコピペ。


# Brother scanners
ATTRS{idVendor}=="04f9", ENV{libsane_matched}="yes"

OS を再起動。これで Ubuntu 側の環境が整った。

参考リンク

スキャナードライバーのインストール

今回の解説では、root 権限での端末操作を一度に終わらせるため、ドライバーのインストールから始めた。

スキャナードライバーについては、brother の公式サイトからダウンロードすることになるが、バージョンは日本語サイトよりも、英語サイトの方が新しかったので、 Brother Solutions Center - Download (Scanner Driver) からダウンロードした。

複合機やプリンタの種類により、ダウンロードするパッケージの種類が異なるので要注意。
今回の解説では、複合機の MFC-6490CN を使用しているため、ダウンロードすべきパッケージは、brscan3 models となり、Debian ベースの Ubuntu に合わせて「deb」形式を選ぶ必要がある。加えて、64bit 版の Ubuntu を使用しているので「brscan3 64bit」と「scan-key-tool 64bit」をダウンロードした。

ダウンロードしたファイル「brscan-skey-0.2.1-3.amd64.deb」と「brscan3-0.2.11-4.amd64.deb」をダブルクリックすると、Ubuntuソフトウェアセンターが開くので、そのまま指示に従ってそれぞれのインストールを行う。

プリンタードライバーをインストールする

次に、プリンタドライバーをインストールする。brother - 簡易インストールで書かれている手順どおりに行うだけである。

まず、プリンタをルーターに接続して電源を入れておく。
次に、「ツールの使用方法 - 1.ツールをダウンロードしてください。」にあるリンク「ダウンロード」をクリックし、「linux-brjprinter-installer-1.0.3-1.gz」という名前の圧縮ファイルをダウンロードする。
この圧縮ファイルを書庫マネージャで解凍すると、同名のシェルスクリプト書類が生成される。

端末を開き、以下の通り入力する。


sudo su

パスワードを聞かれるので答えた後、以下の通り入力する。「ユーザー」「シェルスクリプト書類のダウンロード先」は適宜変更すること。


bash '/home/ユーザー/シェルスクリプト書類のダウンロード先/linux-brjprinter-installer-1.0.3-1' MFC-6490CN

「以下のパッケージが見付かりました……」 というメッセージが出て、「インストールしますか?」と尋ねられるので、y を入力。

英語で記された使用許諾が羅列され、「上記使用許諾に同意しますか?」と尋ねられるので、y と入力すると、ブラザーのサイトに接続される。
再び英語で記された使用許諾が羅列され、「上記使用許諾に同意しますか?」と尋ねられるので、y と入力。

赤文字で「Device URIを指定しますか?」と尋ねられるので y と入力。
すると、0~13 までの番号と項目が列挙され、「使用するDevice URIの番号を選択してください」と尋ねられる。今回はネットワーク接続するので、9 を選択。


9: dnssd://Brother%20MFC-6490CN._printer._tcp.local/

「セキュリティレベルを下げました」というメッセージの後で、「テスト印刷を実行しますか?」と尋ねられるので、MFC-6490CN 本体に電源が入っている事を確認してから y と入力。

しばらくすると、テストプリントが行われる。 無事にプリントされれば、プリンタドライバのインストールは完了である。

MFC-6490CN を Ubuntu へ登録する

次に、MFC-6490CN を Ubuntu へ登録する作業を行う。
root 権限の端末にて、以下のように入力。


brsaneconfig3 -a name=MFC6490CN model=MFC-6490CN ip=**.**.**.**
↑の意味
name=「プリンタの名前(覚えやすい名称で OK)」
model=「正式品番(今回は MFC-6490CN)」
ip=「MFC-6490CN の LAN 側の IP アドレス」

もし、IP アドレスが分からない場合は、MFC-6490CN 本体のメニューより「ネットワーク設定」をプリントアウトすると記載されている。

特に問題が無ければ、これで Ubuntu と MFC-6490CN の接続は完了である。
そこで、接続できているか確認するために、root 権限の端末から ping を送ってみる。


brsaneconfig3 -p

画像のようにテストが完了すれば問題ない。

XSane のテスト

次に、XSane がきちんと動いてスキャンできるかテストを行う。
画面上のメニューより、アプリケーション/グラフィックス/XSane Image scanning program を開くと、「デバイスをスキャンしています」というメッセージが表示された小さなウィンドウが出た後、XSane が起動する。

MFC-6490CN にスキャンしたいものを載せた後、というボタンを押すとスキャンが始まる。

スキャンした画像が別ウィンドウで開く。
保存する場合は、メニューのファイル/イメージより「保存」を選択するか、左端にある緑色の「保存」アイコンをクリック。

保存方法と場所を指定するウィンドウが開くので、保存場所と拡張子を指定して保存をクリック。

MFC-6490CN 側の設定

資料をまとめてスキャンする場合などのために、本体スキャンボタンを押すと PC へ保存できるよう設定する。
まずは端末を開いて、以下の通り入力。

sudo su

パスワードを尋ねられるので入力し、ルート権限を取得。 続けて、以下の通り入力。

brscan-skey

端末上では何も反応が無いが、OS 上では、先ほどインストールし「スキャンキーツール」が起動しているはず。これで MFC-6490CN 側のスキャンボタンが使えるようになった。

「スキャンキーツール」を終了させるには、root 権限の端末で下記を実行する。

brscan-skey -t

ちなみに、PC 起動と同時に brscan-skey を起動させたいならば、 Ubuntuのメニューにある、「システム/設定/自動起動するアプリケーション」にて設定を行うと良い。

ただし、しばらく使わないと brscan-skey がスリープしてしまい接続できなくなることがあるので、その際は「システム/システム管理/システム・モニタ」にてスリープ状態を解除する。

参考リンク

Linux スキャンキーツールのインストール方法

MFC-6490CN 側の操作

上記の手順で PC 側の準備を終えたら、複合機 MFC-6490CN の電源を入れ、本体にあるスキャンボタンを押す。

メニューへ「ファイル:フォルダ保存」という項目ができているので、「ok」ボタンを押すと、保存先としてユーザー名が指定されている。確認した後、スキャンボタンを押すと、「PC接続中」というメッセージが出た後、スキャンが始まる。

PC 内へ保管されたスキャン画像を確認する。端末を開いて以下の通り入力。


sudo nautilus

パスワードを入力するとウィンドウが開き、root 直下に「brscan」という名前のフォルダができていることが分かる。
本体ボタンを押してスキャンした画像は、このフォルダの中に入っている。

これで設定は完了。お疲れ様でした。

参考リンク(ブラザー)

参考リンク(ブラザー以外)

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