更新 2015.5.6 20:29閲覧 11911

Inkscapeでの画像の作り方(その3)猫シルエット画像編

前々回のサイトリニューアルでは、主な画像を Inkscape で作るように心掛けた。Inkscape の操作にも随分と慣れてきたが、写真からシルエット画像を作る方法は、すぐにでも忘れそうな予感がするので覚書。(作成日: 2008年10月19日 (日曜日) 07:13:56 AM)

手順と完成画像

手順

  1. 写真を用意
  2. 画像サイズを指定
  3. レイヤーパレットを表示
  4. 写真をインポートする
  5. 新規レイヤーを作成し、ベジェ曲線で写真をなぞる
  6. フィル/ストロークを使って線と塗りの指定を行う
  7. 画像の形に合わせて文字を入力する
  8. ビットマップ画像にエクスポートする
  9. 線と塗りの設定を行う
  10. グラデーションを修正
  11. 目に色をつける
  12. 背景を作成
  13. 文字を作成
  14. 文字色や配置を指定
  15. 文字を回転させる
  16. 文字のグラデーション方向を修正
  17. 背景を修正
  18. 背景に一回り大きな円を描く
  19. 大きな円の色を修正
  20. 画像の中央寄せ
  21. 背景に星を描く
  22. ビットマップ画像で書き出し

完成画像

1. 写真を用意する

モチーフはやはり猫。いつもお世話になっている「ねこな日記」様(現在閉鎖中)の写真の中から、現在里親募集中の美猫姉妹を選んだ。

写真右の黒猫嬢は物怖じせず愛嬌ある性格故か、カメラの前で悩殺ポーズを取って下さること頻り。写真左の虎猫嬢はカメラ嫌いのご様子だが、時折小首を傾げて覗き込む眼差しが初々しくキュート。

今回の画像は、そんな美猫姉妹が並んで写っている、2008年9月17日に撮影された見返り美猫写真を元に作成した。

2. Inkscape を起動して画像サイズを設定

Inkscape を起動。
画面上の「ファイル」メニューから「ドキュメントの設定...」を選択。

現れた「ドキュメントの設定」ウィンドウのページタブにある「カスタムサイズ」部分にて画像サイズを指定する。
今回は 200×200 px の画像を作る事にした。

3. レイヤーパレットを表示

画面上の「レイヤー」メニューより「レイヤー...」を選択し、画面右にレイヤーパレットを表示する。

最新パージョンの Inkscape 0.46 では、「レイヤー」や「フィル/ストローク」といった機能が別ウィンドウとして開くのではなく、同一画面の右側に表示されるようになった。

とはいえ、複数のパレットを表示していると、動作が重くなるのは変わらないので、よく使うパレットのみ表示する方が良さそうだ。

4. 写真をインポートする

「Layer1」を選択した状態で、画面上の「ファイル」メニューより「インポート」を選択する。

「インポートするファイルを選択」という名称の別ウィンドウが開くので、「Places」から写真がある場所を探し、該当する写真が見つかったら「Open」ボタンを押す。

5. 画像サイズを合わせる

インポートした画像サイズが大きい時は、ツールバーの中央付近に3つ並んでいる「虫眼鏡に関連するアイコン」の中から、「選択オブジェクトをウィンドウに合わせるようにズーム」アイコンをクリックすると作業し易くなる。


以降、写真をトレースする作業に入ることになるが、今回のように元画像と出来上がりのサイズが極端に異なる場合、元画像を縮小してからトレースする方法と、トレースした画像を出来上がりに合わせて縮小する方法の2つの作成方法がある。今回は後者で進めた。

6. トレースするレイヤーを追加

取り込んだ写真から美猫姉妹のみを抜き出す為に、GIMP で猫シルエット画像を作成したときと同様、ベジェ曲線を使ってトレースする。

まず、間違って元画像を消さないように、「Layer1」横にある錠前アイコンをクリック。

次に、レイヤーパレットの「+」ボタンをクリック。「レイヤーを追加」ウィンドウが出現するので、レイヤー名を「trace」、位置を「現在レイヤーの前面側」と指定し、「追加」ボタンを押す。

7. 画像をトレースする

画面左のアイコンメニューより「ベジェ曲線/直線を描く」を選択。美猫姉妹の輪郭をトレースする。

輪郭と目のトレースが終了したら、「Layer1」の左にある目アイコンをクリックして元画像を非表示にする。

元画像が非表示になると、ページ全体が見えるようになる。

8. 画像をキャンバスサイズに合わせる

画面左にある「オブジェクトを選択/移動/変形」アイコンをクリックした後、猫達の画像を選択。コントロールキーを押しながらキャンバスサイズに合わせて縮小する。

9. 線と塗りの設定を行う

画面上の「オブジェクト」メニューより「フィル/ストローク...」を選択する。画面右に「フィル/ストローク」パレットが出現する。

左側の猫を選択し、フィル(塗り)を「放射グラデーション」、ストローク(線)の色と太さを適宜設定する。「放射グラデーション」タブ内の「編集」ボタンをクリックして出現する別ウィンドウでは、グラデーションの色を変更する事ができる。

作られたグラデーションは、タブ内にあるセレクトメニューに「linearGradientXXXX(XXXXは任意の数字)」という名前で保存される。

複数のグラデーションを作る場合は、「編集」ボタンの隣にある「コピー」ボタンをクリックし、「XXXX」の値が異なる別グラデーションを作成してから色の編集を行う。「コピー」せずに「編集」すると、折角作ったグラデーションのデータが上書きされてしまうので注意しよう。

10. グラデーションを修正

2匹の中心から光が出ているようなグラデーションにする為、右側の猫のグラデーションを修正する。

右側の猫を選択した状態で、画面左にある「グラデーションを作成/編集」アイコンを選択すると、左図のようにグラデーションの中心と方向線が出現するので、中心の位置やグラデーションの方向を適宜設定する。

11. 目に色をつける

2匹の目を選択し、「フィル/ストローク」パレットの「フィル」タブにて「塗り」を選択。カラーホイールにて適宜色を付ける。

次は背景画像とキャッチコピーを製作するので、「trace」レイヤー横の錠前アイコンと目アイコンをクリックして、2匹の猫をロック&非表示にする。

12. 背景を作成

「trace」レイヤーの下に「background」レイヤーを作成。

画面左にある「円/弧を作成」アイコンをクリックし、画面上に適当な大きさの円を描いてから、「フィル/ストローク」パレットで文字や円の色や線の太さ等を調節する。

13. 文字を作成

次に、画面左にある「テキストを作成/編集」アイコンをクリックし、適当な広さの入力フィールドを作ったら、画面上にある「フォント、フォントサイズその他テキストのプロパティを表示/選択」をクリックし、「テキスト/フォント」ウィンドウに「Who's My Daddy?」というキャッチコピーを入力。文字の大きさや種類を適宜指定した。

14. 文字色や配置を指定

入力した文字を選択したまま、「フィル/ストローク」パレットにて塗りと線の指定を行う。

画面左にある「オブジェクトを選択/移動/変形」アイコンをクリックし、シフトボタンを押しながら文字と円をクリックする。

文字と円を選択した状態で、画面上の「テキスト」メニューから「テキストをパス上へ」を選択すると、円周上に文字が配置される。

↓円周上に文字が配置された状態

15. 文字を回転させる

文字を選択し、画面上の「オブジェクト」メニューから「変形...」を選ぶ。

画面右に出現した「変形」パレット内の「回転」タブにて、文字の回転角度を120度に設定し「Apply」ボタンを押し、文字と円を回転させる。

16. 文字のグラデーション方向を修正

文字を選択し、画面左にある「グラデーションを作成/編集」アイコンをクリック。

グラデーションの開始色と終了色を示す方向線が現れるので、適宜変更する。

↓変更後

17. 背景を修正

「trace」レイヤーを表示して全体を確認する。
このままでは背景と猫画像とがかみ合っていない印象を与えるので、背景にもう一回り大きい円を描いて配置する。

円をクリックして選択し、画面上の「編集」メニューから「コピー」を選択。次に「編集」メニューより「同じ場所へ貼付け」を選択。

18. 背景に一回り大きな円を描く

貼付けた円を選択した状態で、画面上の「オブジェクト」メニューから「変形...」を選ぶ。

画面右に出現した「変形」パレット内の「拡大縮小」タブにて、円の大きさを幅120%、高さ120%に変形する。

19. 大きな円の色を修正

「オブジェクト」メニューから「最背面へ」を選択し、大きい方の円を画像の最背面に配置する。

「フィル/ストローク」パレットで適宜設定を行う。

20. 画像の中央寄せ

背景画像がキャンバスからはみ出ている為、画面中央へ配置する。
2つの円と文字を選択し、画面上の「オブジェクト」メニューより「グループ化」を選択した後、「オブジェクト」「整列/配置」を選択し、画面右へ現れたパレットで「中心を垂直軸に合わせる「中心を水平軸に合わせる」を選択する。

「グループ化」せずに中央合わせをすると、文字も中央寄せになってしまうので注意。

21. 背景に星を描く

画面が少々寂しい気がしたので、空いた空間に星を配置。

画面左にある「星形/ポリゴンを作成」アイコンをクリックし、任意の場所でドラッグすると星が描かれる。

「角を幾つにするか」などの図形に関する設定は、上から3段目のメニューにあるアイコン等で変更する。

22. ビットマップ画像で書き出し

Web 用の画像として書き出す為に、「ファイル」メニューから「ビットマップにエクスポート...」を選択。

別ウィンドウが出現するので、「ページ」タブを選択。サイズを確認してから、保存する場所とファイル名を指定した後に「エクスポート」ボタンを押すと、画像が png で保存される。

完成

できあがり。
繰り返しになるが、この美猫姉妹は里親募集中だそうだ。
つまりは、ダディの分からない美猫姉妹がダディを募集中という事なので、「Who's My Daddy?」というキャッチコピーは強ち間違ってはないと思うが如何だろうか。